「で、ロルフィングって何なの?」ロルフィングについていろいろ説明したあとに、必ずされる質問がこれです。いままでの説明が結局は全く伝わっていず、こんな質問がきますのでガクッときます。でも、これは仕方ないことなのです。 ロルフィングはアメリカで生まれたために、アメリカにはかなりの数のロルファー(ロルフィングを施術する人)がいて、ある程度知られてはいるはずです。ところがそのアメリカでちょっと前に『ロルフィングって結局、何なの』という本が出ました。 アメリカですらこうですから、ましてやロルファーが30名ほどしかいない日本では、基本的な認知度がかなり低いわけで、これはしかたのないことなのです。さて、とはいえ「しかたない」ですませるわけにもいかないので、まずはロルフィングの歴史と特徴について解説していこうと思います 【ロルフィングの特徴】 ・ロルフィングのゴールは楽なカラダ ・治療ではない ・手技を使う ・筋膜にアプローチする ・教育的な面もある ・10回で完了する 歴史 ロルフィングを作ったのはアイダ・ロルフ博士(1896〜1979)です。彼女は米国コロンビア大学で生化学の博士号を取得した後、ロックフェラー財団で生化学者として働いていました。今までの医学や施術では解決できない家族の健康上の問題から、さまざまな治療法を研究して1950年代に「構造統合(Structural Integration)法」としてまとめました。 このときにロルフィングの特徴でもある、10回のセッションというものも考えられ、その技法を教えるシステムも作られました。ただし、それを学べたのは解剖学・生理学の知識のある医療関係者が中心でした。 またその「構造統合(Structural Integration)法」という名も、「ロルフィング」(ロルフという彼女の名による)と呼ばれるようになり、1960年代にはエサレン研究所に出向き、当時のカリスマ心理療法家、フリッツパールズに施術、驚異的な結果を出した(フリッツパールズが喧伝した)ことにより、人間性心理学の世界に広く知られるようになりました。 当時のエサレン研究所では、フリッツのゲシュタルト・セラピー、アイダのロルフィングがエサレンの二本柱と呼ばれるほど人気を博し、はじめて医療従事者以外の人たちにもロルフィングを教えるという試みがなされました。そのときに現在の教育カリキュラムである、最初に生理学、解剖学の理論および手技を習得させ、その試験に合格した人のみにロルフィングを教えるというカリキュラムが確立されたようです。 またエサレン研究所を通じてロルフィングについて科学的研究が行われ始めましたが、これについては今度ふれることにします。ちなみにこのころから「ロルフィングは痛い!」という神話が出来上がってきたようです。 ずっとエサレンにいた知人などは「ロルフィングをしている場所の前を通るとScreaming(絶叫)が聞こえる」といい、いまだに「ロルフィングは痛くない」というわたしの言葉を信じません。ところが先日、アイダの初期のころの弟子である人にあったところ、初期のロルフィングは痛くなかったし、当然アイダのロルフィングも痛くなかった、と言ってました。 ロルフィングのゴールは楽なカラダ ロルフィングのゴールは、楽なカラダをもう一度取り戻すことです。ほとんどの人は生まれたばかりは自然なカラダをしています。 ちょうど立ち始めた1、2歳の赤ちゃんの体の柔らかさや(そして何と!)強靭さには驚かされます。それが大きくなるにつれ、カラダは固くなり、バランスも崩れ、強くはなる分もろくなります。そして、カラダがだんだんきつくなります。 ロルフィングのゴールはバランスのとれた身体の構造を取り戻し、そしてそれによって楽だったときのカラダを取り戻すことです。具体的には図のように頭頂、耳(頭部)、肩、肋骨、骨盤、脚部、足部が一直線上に並ぶことをひとつの理想としています。また、前から見た姿も目、口、鎖骨、骨盤、膝、足首などが水平になるようにします。 むろんこの姿勢だけが正しいというわけではありません(重要!!)が、これをひとつの目安としセッションをしていきます。そして、そのような形になることを邪魔しているさまざまな要因を手技によって取り除いていくのです。 しかし、実はロルファーによる手技だけではうまくいきません。そのときに手伝ってくれるのが「重力」と、そしてクライアント自身です。ロルフィングは重力との関係性をもう一度見直し、そしてクライアント自身が自分のカラダに対して自分で関わっていくためのお手伝いをするボディワークだといってもいいでしょう。 治療ではない ロルフィングのゴールはカラダのバランスを整えることです。ですからロルフィングは肩こりや腰痛を治したり、パフォーマンスの向上などを主な目的とはしていません。ゴールはあくまでもバランスです。 またリラクゼーションも目的としていません。ロルフィングはマッサージや治療ではないのです。むろんロルフィングの結果として肩こりや腰痛がよくなったり、パフォーマンスが向上したりすることがあります。 また、ロルフィングは筋膜に働きかける手技というとても深いアプローチをするので、とてもリラックスをするという人もいます。しかし、これはあくまでも結果であって、効果ではありません。そういう結果を得る人もいれば、得ない人もいるのです。 ロルファーはセラピストでも、先生でもありません。あなたのからだがバランスを取っていくのは、重力とあなた自身の力によるのです。ロルファーはあなた自身のからだがバランスを取っていこうとする方向に対して、ちょっと推進力を与えるお手伝いするのが役割です。ですから、あなたの参加が一番で、マッサージベッドに横になって「何とかして」という気持ちでは変化もあまりおきません(それでも変化はおきますが)。 次ぎのページへ |